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環境とエネルギーを考える とやま女性の会

《日 時》
2017年6月4日(日)13:30〜15:00
《会 場》
ホテルグランテラス富山(富山市桜橋通り2−28)
《テーマ》
「気象から考える 地球環境・エネルギー」

近年、異常気象による災害が世界中で増加傾向にあります。異常気象の原因と考えられている地球温暖化がこのまま進むと、100年後の天気はどうなるのか。そして今から始められる温暖化対策についてなど、天達 武史氏(気象予報士(日本気象協会所属))に、クイズや実験を交えわかりやすくお話をしていただきました。

講演
「気象から考える地球環境・エネルギー」 どこでも起こりうる気象による災害の危険性

2013年8月12日に、日本の最高気温は高知県で41℃を記録しました。記録を順に並べると、18位までが40℃を超えています。しかもそのほとんどがこの30年以内に発生しており、富山でも1994年8月に39.5℃を記録しました。私たちは、昔の「猛暑」が今の「平年並み」になっているほどの気象環境の変化を認識しておかなければなりません。そして気象の変化の原因である地球温暖化について、原因と対策を考えていかなければならないと思います。


日本の暑さの記録


暑さのみならず、たとえば去年の夏には観測史上初めて3つの台風が続けて北海道に上陸し、各地に大きな被害をもたらしました。台風以外にも、災害を起こす危険性があるのは、雨雲がずっと同じ場所にかかり「複数の線状降水帯」ができている場合です。2015年9月の関東・東北豪雨では、次から次へと同じ地域に雨雲がかかり大量の雨が降り続いて、ついに鬼怒川が堤防決壊したために、多くの家屋が流され復旧作業には時間がかかりました。こういった気象災害は、特定の地域に限らず日本中どこでも起こる可能性があり、また世界的な傾向でもあります。危険が迫っていても、自分だけは大丈夫だとつい思い込んでしまう心理状態に陥りやすいものですが、気象に関しては、いつでもどこでも誰にでも最悪のことが起こる可能性があります。気象災害のニュースを聞いたら、自分の居場所で起こった場合、どのように行動すればいいのかプランを考えておくと、実際に起きた時にすぐに避難ができます。 



温暖化の進行が私たちの生活から地球の生態系にまで与える影響

多発している気象災害を、私たち人間が軽減する方法はないのでしょうか。こうした異常気象は、地球温暖化が原因だと言われています。では、地球の平均気温が130年前と比べてどのくらい上がっているかというと、実際に、0.85℃上昇しています。大した上昇ではないように思ってしまいそうですが、これが体温だとどうでしょう。36.5℃から37.4℃に上がっただけで、かなり熱っぽく感じませんか? 地球の場合もそのくらいのインパクトがあるのです。地球は46億年の歴史の中で気温のアップダウンを何度も繰り返してきましたが、たった130年の間にこれまでにないスピードで気温が上昇しました。このため、雨が少なかった地域が大雨になったり、逆に砂漠地帯で乾燥が極度に進んだりと地球が悲鳴を上げているようです。日本の平均気温はこの100年の間に1.1℃、富山でも1〜2℃くらい上昇しています。特に、人口が集中していて、地面がコンクリートに覆われているので熱の逃げ場がない、東京、大阪といった都市部では、3℃も上昇しています。私たちは、こういった身近な気象の極端化、異常気象により、地球温暖化を実感することが増えているというわけです。

そして温暖化は、産業革命以後のCO2排出量増加が大きな要因といわれており、日本でも1970年代からCO2排出量が急増しています。であるからこそ温暖化対策として私たちができるのは、CO2排出量を抑制することです。今は、森林と海がCO2を吸収してくれていますが、海水温の上昇や海洋の酸性化によりサンゴの白化など海の生物への影響が出ています。CO2がこのまま増え続けると、地球はどうなるのでしょうか。海によるCO2の吸収能力には限界があるため、吸収できないCO2は大気中に残り、気温がさらに上昇、猛暑のみならずゲリラ豪雨やスーパー台風など「これまで経験したことのないような」異常気象が増加する恐れがあります。そしてこのまま海面上昇が進めば、今世紀末には最大82cmも上昇すると予測されており、小さい島国の中には水没するところもあると言われています。また氷海が溶けることで、既に生態系にも悪影響が出始めています。


 人為起源のCO2排出量


温暖化対策をした場合としない場合をシミュレーションすると、2050年まではほとんど差がないのですが、その後は劇的に変化します。対策しない場合、海が吸収できなくなったCO2が大気中に溜まっていくと考えられるのです。わかりやすくするため、ここで「2100年あすの天気予報」を見てみましょう。2100年8月のある1日は全国的に晴れ、最高気温は高知で42℃、東京は44℃、富山でも43℃になります。また気温が30度以上の真夏日は、沖縄の那覇で一年の半分、東京で3カ月半、富山でも約3カ月続く予測になっています。必然的に生活スタイルも変化し、夏場は夜になってから学校に通ったり、通勤するようになるかもしれません。

地球温暖化は、気温上昇のみならず、豪雨や干ばつをもたらします。浸水や干ばつで農作物が枯れて収穫できなくなれば、私たちの食べるものにも影響が出ます。また海水温上昇によって、台風は日本に来るまで勢力が衰えず最大瞬間風速が90mにも達すると考えられています。これは、外でただ立っているだけで遠くに吹き飛ばされるほどの風速です。



CO2排出削減の指針になるエネルギー対策と身近な省エネ策とは

私たちが地球温暖化に対処できる方法は二つあります。一つはCO2など温室効果ガスを減らすといった地球温暖化緩和策。もう一つは、温暖化による悪影響に備える適応策です。

具体的な緩和策はまず、CO2を吸収してくれる森林を増やすことです。それも成長を続けている木々でできている森でなければ、効果は1/5程度に留まってしまいます。実はCO2を最も吸収してくれるのは杉。花粉症になるので苦手という人もいるでしょうが、地球にとってはとても優しい木です。また、CO2排出量が多い化石燃料の代わりに太陽光、風力、水力といった自然エネルギーなどを増やすことです。もちろん、自然エネルギーのみでは足りないため、原子力や火力も含めてバランスよく電気をつくることも考えなければなりません。

パリ協定という国際的な協定があります。最近、温室効果ガス排出量世界2位のアメリカのトランプ大統領がこのパリ協定離脱を表明、独自にCO2排出量を削減する取り組みを行うと宣言し、国内外から批判を受けています。協定に参加した国すべてがCO2削減に取り組み、各国の事情に応じた目標を達成できれば、「2100年あすの天気予報」のようにはならないで済むと思います。

また、私たちが身近なことでCO2を減らせる方法としては、ガソリンを使わない徒歩や自転車での移動、家庭内では冷蔵庫の扉の開閉を軽減することや使わない照明の消灯、エコクッキング、エコバッグでの買い物、夏にはエアコンの温度設定を上げる代わりに扇風機で体感温度を下げるなどの省エネ策があります。屋外では、打ち水や緑のカーテンの気化熱によって周囲の気温を下げるなどが考えられます。

そういう緩和策に取り組む一方、温暖化への適応策としては、刻々と変化する天気をコンピュータで精密に分析予測した上で人間の感覚を加味して解説している気象情報を見ていただくことです。できれば最新の予報をこまめにチェックして、天気の急激な変化に備えていただくのが、気象予報士としての願いです。  



天達 武史(あまたつ たけし)氏プロフィール

気象予報士(日本気象協会所属)
1975年、横浜生まれ、横須賀育ち。御茶ノ水美術専門学校デザイン科卒業後、ファミリーレストランに勤務。勤務先のファミリーレストランの前が海だったため、天気で客数が大きく変化したことから、過不足なく食材を発注するために気象予報士を目指し7回目で試験に合格。2005年10月より、フジテレビ系列「情報プレゼンターとくダネ!」の気象キャスターを担当。主な書籍に、『知識ゼロからの天気予報学』(幻冬舎)、『ギモンかいけつ!天達さんのお天気教室』(文化出版局)、『アマタツさん、猫が顔を洗うと雨って本当ですか?』(徳間書店)など多数。

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