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2020年度メンバー会議 ②

《日 時》
2020年8月25日(火)13:30〜16:30
《会 場》
経団連会館5階(東京都千代田区大手町1-3-2)

日本の大手企業、主要業種団体などから構成され、日本経済の発展に寄与するために、政策についての提言を行なっている日本経済団体連合会(経団連)。政府によるエネルギー政策や温暖化対策に対しては、どのような考えを持ち、提言をしているのでしょうか。メンバー会議では、谷川喜祥氏(経団連 環境エネルギー本部上席主幹 チャレンジ・ゼロ推進室長)から説明がありました。

講演 エネルギー・気候変動問題に関する経団連の取り組みについて

エネルギー政策はどこに向かおうとしているのか

エネルギーを考えるに当たり、今秋から来夏にかけて非常に大事な時期を迎えています。というのも、政府によるエネルギーの基本的な計画と気候変動に関する基本的な対策を見直す時期が来ているからです。こうした検討を進めていくに当たっての経団連としての考え方をお話ししたいと思います。

政府のエネルギー政策の基本はS+3E、すなわち安全性(Safety)を大前提とした、安定供給(Energy security)、経済性(Economic Efficiency)、環境性(Environment)のバランスの確保です。2018年7月に閣議決定された第五次エネルギー基本計画では、S+3Eを基本に、中期として2030年までの取り組み、長期として2050年までの計画が提示され、これを踏まえて気候変動に関する中期・長期の目標や取り組みが策定されています。現状の3E別の政策目標の進捗状況を見ると、例えば、エネルギー起源のCO2排出量は東日本大震災後に原子力発電所停止により増加しましたが、現在は省エネの推進、非化石電源の拡大などにより低減しています。また、エネルギー自給率も震災後に同様の理由から低下後、現在は上昇しており、現段階としては計画通りと言えますが、目標達成に向けてさらなる対策を進める必要があります。 エネルギーは国民生活や事業活動の基盤であり、経団連としては、S+3Eのバランスが取れた政策展開が極めて重要だと考えています。こうした中、日本の電力は今、化石燃料への依存率80%弱、再生可能エネルギーの拡大の遅れ、原子力発電所の再稼働の遅れ、海外に比して高い電気料金という大きな課題があり、加えて「脱炭素化」という気候変動への対応、「分散化」さらには「デジタル化」といった時代の潮流への対応も合わせて考えていかなくてはなりません。


経団連が考える非化石電源の拡大

エネルギー政策において、S+3Eを全て満たす完璧なエネルギー源は存在しないため、石炭、LNG、石油、再エネ、原子力といった様々なエネルギー源をいかに組み合わせて最適な形を作っていくかが日本の大きな課題です。特に経団連としては、再生可能エネルギーと原子力という非化石電源の活用拡大が鍵であると考えています。

再生可能エネルギーについては主力電源化を目指す必要があり、そのためには低コスト化、安定供給、持続的事業の3つの要件を満たさなければなりません。特にFIT制度(固定価格買取制度)のもとで普及が進んできた再生可能エネルギーについては、年間の買取費用総額が約3.6兆円(2019年度)に達しており、その大部分を電気料金から徴収しています。今後これ以上の国民負担を上乗せできない状況にある中で、どのように普及させていくかが課題です。

また、電力の100%を再生可能エネルギーで賄うのは現実的ではないため、安全性確保を大前提に、3Eのバランスに優れた原子力の継続的活用が不可欠だと考えています。2030年度エネルギーミックスで示された電源構成に占める割合20〜22%を実現するためには30基の稼働が必要ですが、現在稼働しているのは9基のみです。このまま再稼働しなければ目標達成は厳しく、さらに40年の運転期限のままリプレースや新増設が行われなければ今世紀半ばにはゼロになってしまいます。原子力の在り方については社会で意見が分かれるところですが、今から真剣に活用の議論をしておかないと後戻りできない状態になる可能性があります。

化石燃料については、脱炭素化を追求する中においても引き続き大事なエネルギー源だと考えています。他方、排出される温室効果ガスを回収し再利用するなどの革新的技術の開発や普及に取り組むとともに、高効率利用を図る必要があります。非効率石炭火力発電のフェードアウトに当たっては、安定供給への影響はもちろんのこと、雇用、産業面への影響についても検討しなければなりません。


電力ネットワークの次世代化に伴うコスト増の解決方法とは

電源側の課題に加えて、つくられた電力を皆さまのもとにどのように届けていくのかという電力ネットワーク側の課題もあります。送電網については再生可能エネルギーの大規模拡大に適応できるよう、送電ルートの最適化や、一部では容量の拡大も必要になります。配電網については分散型電源をうまく活用するため、デジタル技術を利用した効率的な仕組みが必要です。他方、こうした送配電網の整備には多額のコストがかかるのも事実です。今後、必要な投資は確実に行い、かつ電力システム全体のコストは下げていく必要がある中において、自ずとコスト負担の在り方がポイントになっていきます。

これまでの電力ネットワークのコスト負担制度は、大規模集中型の電力ネットワークに対応するものであり分散化の進展を想定していませんでした。今後は、集中型と分散型エネルギー源のバランスのみならず、コスト負担の面においても適正な分担に見直すことが不可欠です。現在、送配電インフラの固定費の多くは従量料金により回収していますが、託送料金(送配電ネットワーク利用料金)を見直し、基本料金比率の引き上げといった議論も大事だといえます。

政府により行われた再生可能エネルギーと送配電網についての法改正では、例えば、再生可能エネルギーの導入による国民負担を抑制していくための方策、送配電網を今後、より効率的・効果的に整備していく上での環境整備等が規定されました。経団連では、今回の法改正では手当てされていない原子力の問題、発電所建設に当たってのサポート、そして来年行われる第六次エネルギー基本計画までに、S+3Eのバランスはどうあるべきなのか、それを踏まえてエネルギー源の構成比はどうあるべきか、脱炭素化、分散化、デジタル化といった潮流に合わせる形でどのような改革ができるのかも、しっかりと議論・検討し、意見発信をしていきたいと考えています。


脱炭素化社会に向けたプロジェクト「チャレンジ・ゼロ」

経済発展によるエネルギー使用の増加とCO2排出量の増加が相関関係にあるのは、これまでのデータにより明らかですが、近年の異常気象の増加に見られるように、気候変動は世界にとって最重要課題の一つになっています。もしこのトレンドが続くとしたら、CO2排出量の削減方法がさらに問われていきます。IEA(国際エネルギー機関)の分析によると、新型コロナウイルス感染症拡大により世界経済がこれだけ落ち込み、皆さんが大変な思いをして暮らしても、CO2削減量はこの1年で8%減程度となっており、これ以上の削減を継続する必要があります。経団連としては、今後、生活に苦痛をもたらさずにCO2を減少させるための検討要素として、大きく二つのことが重要と考えています。一つ目は脱炭素社会に向けていかにエネルギー政策を作り変えることができるのか。非化石の再生可能エネルギーや原子力を、経済性を考えつつ安定供給を阻害しない形でいかに活用できるのかということです。

そしてもう一つがイノベーションであると考えています。経団連は20年以上にわたり気候変動対策に取り組んできており、この6月に「チャレンジ・ゼロ」という新プロジェクトを開始しました。脱炭素社会の実現に向けて、イノベーションに挑戦する企業の賛同を募り、すでに147社・団体が参加し329の具体的な取り組みの提出をいただき、ウェブサイトで公表しています。こうした取り組みによりイノベーションに必要な様々な連携を促していくとともに、ESG投資(環境や社会、ガバナンスといった社会課題に関心を持つような投資家の資金)をしっかり呼び込んでいこうと考えています。

「チャレンジ・ゼロ」に掲げられた企業の取り組みを束ねていくことで脱炭素社会につながる可能性があるのかについて地球環境問題専門のシンクタンクに試算を依頼したところ、幅広いイノベーションの確実な実現により可能なことが明らかになりました。今後、政府と具体的な連携を進め、「チャレンジ・ゼロ」を企業のみならず、国全体として盛り上げ、脱炭素社会に向かえないか、がんばっているところです。この一年は、エネルギーや気候変動について考える大事な時期になるかと思いますので、皆さまの中で議論される際に、経団連がどう考えて、どのように取り組んでいるのかを参考にしていただければと思っています。



谷川 喜祥(たにがわ きよし)氏プロフィール

経団連 環境エネルギー本部上席主幹 チャレンジ・ゼロ推進室長
東京大学経済学部卒業。東京大学大学院、米国コロンビア大学大学院、英国LSEより修士号を取得。2001年、日本経済団体連合会入局。通商政策、国際協力政策、科学技術イノベーション政策、成長戦略、規制改革、震災復興等の企画・調査に従事し、現在、チャレンジ・ゼロをはじめ、気候変動政策・エネルギー政策全般を担当。

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