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NPO法人WARP-LEE NET

《日 時》
2020年9月18日(金)14:00〜15:45
《会 場》
リーガロイヤルNCB(大阪市北区中之島6-2-27)
《テーマ》
2020に考える! 暮らし、いのち、エネルギーはどうなるのだろう?

暮らしの視点でエネルギーの学習を続けている「エレの会」では、新型コロナウイルスの影響で半年間中止していた活動を再開するにあたり、第1回幹事会に神津カンナ氏(ETT代表)を招いて講演会を開催しました。講演後は井上チイ子氏(NPO法人WARP-LEE NET代表)との対談も行われました。

講演 
 2020に考える! 暮らし、いのち、エネルギーはどうなるのだろう?

小見出し1)人間はプロセスを踏まなければ結論に行き着かない

コロナ以降、生の講演会は初めてです。本日はコロナのこともふまえて、今何が変わってきているのか、これからどうなっていくのかをお話ししたいと思います。皆さんは1969年に刊行された『死ぬ瞬間』をご存知ですか。これは「死学」のベストセラーになった本です。著者のエリザベス・キューブラー・ロスは精神科医で、医師として初めて「死ぬ」ことを真正面から捉えた人だと言われています。本の中では死を受け入れるまでのプロセスを5段階に分けた「ロスモデル」が、賛否はあるものの画期的と注目されました。第1段階は「否認と孤立」、死を受け入れられず孤立してしまう。第2段階は「怒り」、なぜ自分が死ぬのかと反発する。第3段階は「取引」、例えば寄付をするから生きさせてほしいなどと考える。第4段階は「抑鬱」、死が回避できないとわかって悲観と絶望に陥る。第5段階は「受容」、全てを受け入れるようになる。

なぜこれを取り上げたかというと、3.11の福島や今回のコロナでも、人間は少しずつ段階を踏んで理解していくものなのだなと思ったからです。第1段階はコロナウイルスが何かわからず「混乱」「模索」した。第2段階はオンライン飲み会を楽しんだり、合奏をYouTubeに上げたり「興奮」の時期に入った。第3段階はマスク警察や感染者の人物特定など「怒り」に矛先が変わった。第4段階は自粛にも「飽き」がきた。第5段階は「ニューノーマル」、新しい日常を受け入れる受容に行き着くのですが、今は第4段階と第5段階の間の階段を上っている段階で、そうやって学びながら少しずつ、今までとは違う新しいやり方を構築していくのでないかと思います。

私が好きな世阿弥の言葉に「する態(わざ)に対するせぬ隙(ひま)の面白き」というの があり、「能の所作をしている時よりも動かず黙って控えている時の方が難しい」という意味です。渡辺和子さん(ノートルダム清心学園前理事長)の本『置かれた場所で咲きなさい』の言葉に続く、「咲けない時は下に下にと根を張るのです」というのも好きです。今年はETT設立30年で、いろいろ計画していたのですがコロナで身動きがとれなくなりました。私がETTの代表になったのは2011年4月です。直前に福島第一原子力発電所の事故があり、全ての準備が水泡に帰してしまいましたが、「できることを できるひとが できるだけ できるように」と考えて今まで続けてきました。今回、私は物書きなので150人のETTメンバーに「神津通信」と題し、半年間で300通のメールを書き続けました。何もできない時でも実は1人ひとり誰にでも「できること」があります。それを見つけることが大事なのです。毎日家族のご飯をつくったとか、断捨離をしたとか、走ったとか、何でも良いのです。自分ができることの積み重ねがきっと実を結ぶ時が来ると思っています。

先日、免疫力の専門家である小林弘幸さん(医師/順天堂大学医学部教授)に「腸内の2割が善玉菌、1割が悪玉菌、残りの7割は日和見菌」と伺い、善か悪かどちらかに偏っていない日和見菌こそが大事だと思いました。なるほど、私たちは、どちらかに偏って動けずにいるのではなく、いろいろな情報を浴びて気持ちが揺れ動き、どちらにも行く可能性を持っている日和見菌なんだ!そう思うと日和見菌であることに自信が持てます。


小見出し2 カメと比べても人間は偉くなっているわけではない

いわゆる「スペイン風邪」は約100年前に流行ったインフルエンザですが、日本での死者は39〜45万人と言われています。その頃書かれた『流行性感冒』を読むと、学校の全面休校、集会・興行・活劇・力士の巡業などの中止、マスク・うがいなどの有効性を訴えるなど、対策はコロナの今とほとんど変わっていません。2018年、インフルエンザでの死者は3,325人でした。100年前からインフルエンザも克服できていないのですから、人間は偉くなっているわけではないとしみじみ感じます。

100m走の現世界記録は2009年にウサイン・ボルト選手が出した9.58秒ですが、初めて公認された世界記録は1912年にドナルド・リッピンコット選手が出した10秒6で、約1秒縮めるのに100年もかかったことになります。カメの研究をしておられる平山廉さん(古生物学者/早稲田大学教授)に聞いた話では、恐竜とカメは誕生した時期は一緒で、恐竜は絶滅しましたが、カメは何千万年もかけて進化して生き延びてきたそうです。まず首を引っ込めて防御できるようになり、次に耳ができて敵の音に反応できるようになり、子孫が増えるようになりました。何千万年もかけて進化してきたカメのことを考えれば、人間が100年かけても1秒しか早く走れるようにならなかったのは当然と言えます。ですから「人間は偉くなった、何でもできると思わない」ことです。

そして、これからのエネルギーについてです。環境問題が問われるようになってから古い石炭火力は廃止しろと言われますが、自然エネルギーは制御しきれず、大容量の蓄電池も開発できていない。また、原子力はCO2を排出しないが最終処分場の答えは出ていないというように、人間は万能ではないので一気に事は進みません。ハイブリッド車のようにつなぎも考えないとなりませんし、「二者択一でなく、丁寧に精査する必要がある」のです。原子力はゼロで自然エネルギーが100とか、脱石油とか、言うのは潔いですが現実的にうまくいった試しがありません。八ッ場ダムも「コンクリートから人間へ」と「脱ダム宣言」しましたが、結局は完成後、八ッ場ダムが無ければ台風の水害が甚大になったとその必要性がわかりました。コロナでもそうですが、最初は解禁か自粛か二者択一しかなくても、この点はダメだがこの点は良いと、面倒でも丁寧に精査していくように、私たちも変わっていかなければなりません。 「変わることを恐れてはいけない」ということです。あれほど言われてもできなかった時差通勤も、コロナで一変しました。昭和9年生まれの母からは戦中戦後の経験から、「ある日突然世の中は変わるものよ」と言われました。

一方、「変われないものもある」のも事実です。ETTの代表取材で、冬の北海道へ送電線の保守点検を見学しに行きました。雪上車も入れない山の中、鉄塔を人がカンカン叩いて雪を落としているのです。また、南大東島へ行った時には、港が無いので、檻のようなカゴに入って船からクレーンで岸に下ろしてもらいました。この日本でも、いまだに変われないものもいろいろあるのです。都会の論理だけで考えては見誤ることがたくさんあります。すぐには変われないもの、変えたくても変えられないもの、そして変えてはいけないものもあるのです。

最後になりますが、私は、それらもろもろを踏まえた上で、「自分が選択したことに責任を持てるようにしよう」と思っています。外で良いことを言って家で違うことをしてしまうことは私にもありますが、自己嫌悪に陥りながらも、自分の選択に責任を持つ大切さをきちんと感じながら生きていきたいと考えています。



小見出し3 対談 エネルギーを「考える人」が集まる「考える会」としての存在意義

井上 ETTの活動を神津代表がお引き受けくださった時、「より深く、より広く、より密に」をモットーにしたいとおっしゃいました。その言葉の意味を改めて教えてください。

神津 「より深く、より広く」は、私たちは知っているようで知らないことはたくさんあるので、もっと広く深く知りましょうという意味です。「より密に」は、今のコロナ禍では言えなくなっていますが、もっと人と触れ合えばおもしろいことがたくさんあるので親しくなりましょうという意味で、つまりは好奇心を常に持っていたいと思って最初にお話ししました。

井上 社会参加する時に大事なのは好奇心を持つことだと思います。「エレの会」も設立28年を迎えました。阪神・淡路大震災をきっかけとして、活動の主軸にエネルギー問題があります。私たち消費者は電気を「つくる所」でも「送る所」でもない、「使う所」です。それでは発電にも送電にも関わらない私たちが集まるETTや「エレの会」の活動に一体どんな意義があるのだろうと考えた時、ETTメンバーの金田武司さん((株)ユニバーサルエネルギー研究所代表取締役社長)が、ETT設立30年記念誌の中でETTのことをエネルギーを「考える」対象としているユニークな存在であり、それまでエネルギーは「売る人」と「買う人」の二つの立場での議論が中心となっていたが、「考える」人が社会の問題として考えるきっかけを作ってきたというようなことを書いてくださっていたのを見て、私たちは「考える会」なのだと示唆をいただいた思いがしました。考えることは、それぞれの立場や思いは違っても続けることができます。考える上ではお話を伺うとか語り合うとか、「より密に」も大事だと思っています。

神津 日和見菌を教えてくださった小林弘幸さんは自律神経の専門家でもありますが、交感神経はアクセルで副交感神経はブレーキ、人と話すとそのバランスがとれて自律神経が落ち着いてくるのだそうです。しかし今はコロナの影響で疎外されているので、アクセルを踏みっぱなしで怒っている、ブレーキを踏みっぱなしで鬱になるというように、バランスを崩している人が多くなっていると伺いました。

井上 先程、神津代表が話されたように、日和見でいると不安になって「黒か白かどちら側かに付かないといけないのでは」と強迫観念に陥りがちですが、迷っていてもいいのではないでしょうか。もう少し話を聞いてみよう、考えてみようと日和見を続けたほうが心も楽になれると思います。ところで、コロナに見舞われた今年は神津代表にとってどういう年でしたか。

神津 何もできない1年だったような気もしますが、見方を変えれば2020年は将来、歴史の教科書に載るような稀な時代になるかもしれませんね。そう思うと福島第一原子力発電所の事故もコロナも、リアルタイムで経験した時代に私は生きている、いろいろ知っている世代なのだと自慢できるようになるかもしれません。

井上 本日は古生物からエネルギーまで、神津代表ならではの含蓄に満ちたお話を幅広く伺って「エレの会」の今年度のスタートを切ることができました。ありがとうございました。

神津 講演は講義ではなく、皆さんと一緒につくっていくものだと思いますから、本日は生で皆さんの反応を見ることができてうれしかったです。ありがとうございました。


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