地域活動紹介

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9月4日
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フレンズQクラブ

《日 時》
2020年10月29日(木)10:00〜12:00
《会 場》
マリンパレスかごしま マリンホール(鹿児島市与次郎2-8-8)
《テーマ》
コロナ禍の世界、日本のエネルギー・生活はどうなるの?

世界中で感染拡大している新型コロナウィルスにより、私たちの生活スタイルは大きく変化しましたが、一方で暮らしを支えてくれるエネルギー分野でも変化が起きています。しかしマスコミが伝える情報は、果たして本当に正しいのでしょうか。石川和男氏(社会保障経済研究所代表)に具体的な数値をベースに解説していただいた後、石窪奈穂美氏(鹿児島県立短期大学 非常勤講師/消費生活アドバイザー)をコーディネーターに迎えて会場からの質疑応答にも答えていただきながら対談トークが行われました。

講演 
 最近の話題〜核ゴミ最終処分地、福島第一原子力発電所の処理水、脱原子力・脱炭素、再エネ主力化〜それぞれの可能性は?

小見出し1)福島第一原子力発電所の処理水は本当に危険なのか

2020年の2月頃から日本では新型コロナウイルス感染に危機感を覚えるようになり、4月になると全国で緊急事態宣言が発出され、5月には解除されたもののその後も感染者は発生し続けています。感染確認から8か月を経た現在も、就業スタイルや学校生活のほとんどが以前のようには戻っていません。コロナが収束し社会問題化しなくなるアフターコロナも、これまでのように通勤して会社の机で仕事をしたり、人と会ってミーティングをするといった仕事のスタイルに完全には戻らないと考えられます。またコロナによる影響が数字ではっきりとわかるのが、医療費が半年で1兆円減少していることです。皆さんも病院に行くと、患者が少なくなったせいで待ち時間が大幅に減ったと感じていると思いますが、1年で2兆円が見込まれる医療費減収というのは、国の消費税収の0.85%分にも相当します。 

すでに人口が減少し始め少子高齢化が進み、さらにコロナ禍で苦境に陥っている日本において、エネルギー問題はどうなっているのか。まず始めに福島第一原子力発電所の処理水問題についてお話します。2011年の事故により、炉心にあった燃料が溶け落ち、その冷却に使われた汚染水を処理した後に出る処理水をためておくタンクは、現在、発電所の敷地内いっぱいに保管されています。この処理水の海洋放出の是非が問われていますが、反対意見が多く決定が見送られています。しかしこの処理水は危険が少ないとご存知の方はあまりいないのではないでしょうか。ALPSという除去設備を通して放射性物質を取り除いた処理水には、除去しきれなかったトリチウムが含まれ問題視されているわけですが、このトリチウムは、水蒸気や雨水、海水、水道水、河川水の中にも存在しており、水素の一種といえます。毎日、口にしている飲料水や食べ物にもトリチウムは含まれ、つまり私たちの体の中にもトリチウムが取り込まれているのですから、平均寿命80歳を超える日本人が長年こういった物質を体内に蓄積しても健康上は問題ないのに、国は事実をはっきりと公表していません。私は福島の現地に幾度も視察に行き、実情を知っているからこそ、処理水の海洋放出には賛成です。 



小見出し2 高レベル放射性廃棄物処分地誘致で地方自治体は将来の財政難を解決できる

原子力発電は国策です。国策でなければ民営だけでできる規模の事業ではありません。しかしながら、「放射性廃棄物処分場」となると「電気は必要だけれど『自分の庭』に迷惑施設ができるのは困る」という不当な扱いを受けていると思います。候補地がなかなか名乗りをあげなかった、核のゴミと言われる高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、今年8月に、北海道の寿都町(すっつちょう/人口約3,000人)と神恵内村(かもえないむら/人口約900人)の首長が文献調査の受け入れを表明し、国の調査が始まることになりました。九州から遠く離れた北海道における決定とはいえ、九州には、原子力規制委員会が施行した新規制基準に基づく審査を日本で最初にクリアし再稼働した川内原子力発電所や玄海原子力発電所があるのですから、ここから出てくる廃棄物は九州の皆さんの問題として考えなければならないと思います。「放射能」という言葉に対して国民はかなり神経質になっており、再生可能エネルギーをもっと普及させれば原子力発電所は不要となり問題解決できると思っている人が多いと思います。しかし例えば九州管内では太陽光発電設備が多く設置されているために、過剰な発電により電力ネットワークが故障する可能性が出ています。天候に左右される不安定な電源のため、蓄電池の普及も必要です。さらによく考えると太陽光パネルにはカドミウムなど有害物質が含まれているので、放射性廃棄物以上の問題になりうることも忘れてはなりません。

高レベル放射性廃棄物処分については世界で研究が進んでおり、100%安全とは言えないにしても、地中に埋める方法が選択され、すでにスウェーデンでは処分地を選定済み、フィンランドでは2016年に建設が開始されています。最終処分場の選定から実働までは長い時間がかかります。①文献調査(過去の履歴など文献による調査)に2年程度。これが北海道の2町村で始まろうとしています。次に②概要調査(ボーリングなどによる調査)に4年程度。③精密調査(地下調査施設での調査・試験)に14年程度。最後に④施設建設(施設建設後、廃棄物搬入開始)は10年程度かかります。そして3つの調査段階の間に都道府県知事、市町村長の意見を聞いて、反対の場合には次の段階に進まないのが原則です。操業まで半世紀もかかる事業なのです。では今回なぜ北海道の2町村が名乗りあげたかというと、その理由は交付金。将来的にさらに人口が減り財政難で自治体が破綻しないようにと考えたからです。文献調査だけで年間10億円という巨額の交付金が国から出ますし、さらに工場誘致の場合と同じように、施設に必要な道路、鉄道などのインフラ整備も見込まれます。最終処分地の面積は地上では2km2程度、地下施設は6km2〜10km2程度です。これならば日本全国に適性地が数多く見つかると思われます。国策に乗って国からお金を受けることは賢い地方自治だと私は思いますが、皆さんはどう思いますか?例えば青森県の六ヶ所村は、原子燃料サイクル施設などを誘致したことにより、原子力の関係企業への就職率が高く、村全体が豊かになっています。自治体の財政を維持しインフラを整備し村民の生活を豊かにし、さらには国にも貢献している良い例だと思います。いずれにせよ最終処分場の文献調査の受け入れの決断をした北海道の2町村はいずれ世界的に有名になり、候補地に名乗りあげなかった自治体はもしかすると後悔するかもしれません。



小見出し3 メディアの論調をそのまま信じてはいけない

最近もう一つ注目されているエネルギー問題は、メディアが盛んに取り上げている「世界は脱石炭の方向」ということですが、統計数字を見ていくと実は全く違います。世界全体の電力供給量の比率を1973年と2018年で比べると、1973年は第一次中東戦争の影響でオイルショックがあり、その後、石油は約25%から約3%と大幅に減っていますが、石炭に関しては約38%とほぼ変わっておらず、世界の傾向は決して「脱石炭」とは言えません。また原子力は約3%から約10%と3倍に増え、天然ガスは約12%から約23%と2倍に増加、水力は約21%から約16%とやや減っても太陽光、風力などの再エネが1%未満だったものが約10%まで増えています。ところで石炭については、現在、石炭火力を最も使っているのが中国、ついでアメリカ、ロシア、ドイツの順です。日本は世界の中で2%の使用量しか占めていませんから、仮に日本が脱石炭火力にしても世界におけるCO2削減効果はほとんど見られません。だからこそ国としては、九州にあるような世界トップクラスの高効率石炭火力発電所だけは必ず残していったほうが賢明と言えます。


世界全体の電力供給量の推移


またマスコミは「脱原発が世界の潮流」とも言っていますが、実際のところ、2011年の福島第一原子力発電所の事故を受けて一時発電量が減ったものの、その後は7年増加し続けています。つまり、正確なデータの数値を比較し冷静に分析すれば、世界の国々では将来的にも原子力を利用し、増加し続けることが明らかです。再エネは世界でより増加する予測の中、マスコミは日本は「再エネ後進国」と言っていますが、現在日本は太陽光発電導入量では中国、アメリカに次いで世界第3位の「再エネ推進国」です。つまりメディアが煽る言葉ばかり信じて原子力や石炭火力を排除してしまうのではなく、日本の国情を考えた上で、安全保障、CO2対策、コスト面の負担のバランスが取れたエネルギーを選び続けられるように、これからは皆さんにも慎重に考えていただきたいと願うのです。


メ原子力発電量の推移




対談トーク

講演後の対談トークではまず石窪氏が「エネルギーの国産供給は最重要なはずだが、コロナによる国産マスクの品不足で痛切に感じたようには実感できていない人が多いと思う」と意見を述べました。
それに対し石川氏はご自宅の電気料金の明細に書かれた再エネ発電促進賦課金と消費税の金額を比べて後者の方が安いことを指摘しながら「安定供給は今のところはできているが、福島第一原子力発電所の事故後の原子力発電停止とほぼ同時期に再生可能エネルギー固定価格買取制度がスタートしてしまったため、安価な安定供給ではなくなっている」と発言しました。
石窪氏は「マスコミの文言に踊らされてついきれいごとの感情論で議論しがちだが、数値による比較で何が正しいかが明確になった」と講演の感想を述べ、さらに「2050年に温室効果ガス排出量をゼロにしてカーボンニュートラルを目指す」という菅首相の所信表明演説の意味を問うと、石川氏は「多くのマスコミが『2050年CO2ゼロ』と書いているが、カーボンニュートラルとCO2ゼロとは別物である。カーボンニュートラルとは、CO2を出さないわけではなく、出たCO2を固めて地下に埋めるなどの技術を推進し、CO2の排出量と、吸収される量を同じにしていくこと」と解説されました。また「たとえ無理な計画であっても、CO2固定技術にしろ水素を使う技術にしても財務省に対しての予算要求には政府によるスローガンという根拠がなければ進まない」ということでした。
会場からは「世界の2%しか石炭を使っていない日本が温暖化対策に消極的な国として不名誉な化石賞を受賞したのはなぜか」という質問が寄せられ、「諸外国の大手メディアが取り上げてもいない賞なのに、日本は自虐的に報道しているし、偏った報道をしている場合が多いので気にする必要はない。逆に世界は日本の省エネの進化や最先端の火力発電技術の方を注目している」と石川氏が答えました。
石窪氏は「新聞の見出しやリードだけ読んでいると、脱石炭や脱原発が世界の潮流に思えてしまうので、どのように気をつければいいのか」と問いかけ、石川氏は「誰もがすぐにわかるような表現に置き換えてしまっているので、わかりやすさと嘘は紙一重だと気をつけてほしい。新聞よりテレビはもっと短時間で情報を伝えようと省略してしまうので、関心事については、エネルギーや原子力専門の新聞、資源エネルギー庁の公式ホームページをはじめとする、信頼できるインターネットのサイト、SNSで詳しい解説やデータをチェックするのが一番」と発言。
最後に石窪氏が「簡略化された言葉に惑わされることなく、数字を見比べて『ハッキリ言うことはハッキリ言うべし』とおっしゃる石川氏のような意見を参考にしながら、私たちもエネルギー問題について判断していけたらいいと思う」とまとめました。




石川和男(いしかわかずお)氏プロフィール

社会保障経済研究所代表
1965年福岡生まれ。1989年東京大学工学部卒業後、2008年にかけて、通商産業省・経済産業省、内閣官房在籍。この間に、内閣府規制改革委員会WG委員、内閣府行政刷新会議WG委員、政策研究大学院大学客員教授、専修大学客員教授、東京女子医大特任教授、東京財団上席研究員などを歴任。2011 年から社会保障経済研究所代表。以降、多くの企業・団体の役員・顧問などに就任。2020年9月からは 経済産業省大臣官房臨時専門アドバイザー。またTV・ネット番組などでMCやコメンテーター、クイズ番組回答者としても出演多数。実業として、幼児・小学生・高齢者向け脳育事業、ベンチャー投資など。著書に『原発の「正しいやめさせ方」』(PHP新書)など。
[Twitter] @kazuo_ishikawa /
[Facebook] https://www.facebook.com/Ishikawa.Kazuo


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