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山口県地域消費者団体連絡協議会

《日 時》
2022年3月4日(金)13:30〜15:30
《会 場》
山口県婦人教育文化会館(山口県山口市湯田温泉5-1-1 カリエンテ山口)
《テーマ》
「賢い選択をするために〜SDGsやカーボンニュートラルの時代に〜」

SDGsやカーボンニュートラルについて、新聞やテレビなどでしばしば紹介されていますが、どのような取り組みなのでしょうか。そして私たちはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。神津カンナETT代表によるお話を伺った後、会場からの質問に吉冨会長とのトーク形式で答えていただきました。

講演 
「賢い選択をするために〜SDGsやカーボンニュートラルの時代に〜」

環境負荷の抑制のみを優先できない社会の現実

世界的に取り組みが進められているSDGsの中でも、環境に関するカーボンニュートラルという言葉をよく耳にするようになりました。SDGsとはSustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」という意味です。国連サミットで採択され、17の大きな目標の下には169の詳しいターゲットがあります。SDGsの前にはMDGs(Millennium Development Goals)がありましたが、こちらは8つのゴールと21のターゲットで、あまり印象に残っていません。SDGsが注目されるようになったのは、世界中で大規模な気象災害が発生し地球環境の変化が危機感を伴って報じられるようになってきて、私たちが変化を実感するようになったからです。そして何よりMDGsは途上国のみ対象にしていましたが、SDGsでは先進国でも同じように解決しなければいけない課題として掲げたことが大きいでしょう。そして達成ランキングを公表したことも大きいかもしれません。各国が競うようになったのです。余談ですが、2021年6月の最新ランキングでは、1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマークで、以下ヨーロッパの国々が上位を占め、日本は18位ですがアジアの中では最上位です。ちなみに、アメリカ32位、ロシア46位、中国57位と超大国は軒並み低い順位です。

もう一つMDGsと異なるのは、SDGsでは経済的な面でも制約を設け、ESG投資を促すようにしたことです。これまでのような財務状況のみで判断する投資ではなく、ESG「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3要素を考慮した投資の呼びかけによって注目されるようになりました。

SDGsやESG投資でも課題となっている環境について、世界各国のトップがここ数年、カーボンニュートラル宣言をするようになりました。カーボンニュートラルは元々は環境化学の用語で、「カーボンC=炭素の中立」つまり植物由来の燃料を燃やしても二酸化炭素CO2を吸収しているからプラスマイナスゼロになるということです。カーボンニュートラルを「脱炭素」と言い換えて使っている場合が多いですけれど、本来の意味合いが違います。なぜかと言うと炭素は宇宙で4番目に多い元素で、いろいろな元素と結合しています。人は呼吸する時に酸素O2を吸ってCO2を吐き出しますし、50kgの体重の人の体を構成している元素のうち約9kgは炭素でできています。だから「脱炭素」と言ったら、人は息もできないし体の9kg分を捨てなければなりません。世界ではカーボンニュートラルを目指すために、なるべくCO2排出を抑えようとしていますが、例えば原子力発電はCO2を排出しないにもかかわらず、一方で脱原子力が叫ばれているため両立が難しい状況になっています。

カーボンニュートラルは達成がなかなか難しい。その理由の1つは、、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からも見えてきます。LCAとは、商品やサービスの原料調達→生産・流通→廃棄・リサイクルまで一連のライフサイクルにおいて水やエネルギーの使用でどのくらい環境負荷をかけるか算定する手法です。以前にきゅうり農家を見学したことがあります。きゅうりはビニールハウスで栽培されるために重油を用いて温度調節→石油製品のビニール袋に詰めてガソリン車で輸送→照明や冷蔵庫、エアコンが使われているスーパーに陳列→消費者が冷蔵庫で保存。ここまでに使われたエネルギーを計算してみると、きゅうり本体よりエネルギーにお金を払っているのだと考えさせられました。東日本大震災後の気仙沼漁港を訪れた時には、漁に出られるようになっても、燃料補給してくれる燃料会社、保存のための氷を作る会社、商品にならない魚を加工する缶詰工場、輸送するトラック会社などが動かないと、漁業が成り立たないことがよくわかりました。「カーボンニュートラルを目指す」と言っても、社会連鎖の中で環境負荷を抑制するのは大変です。

またカーボンニュートラルのためのコストも大きな問題です。昨年5月13日に経産省は「2050年に再エネが100%になったら電気代が今の3倍になる」と発表しています。蓄電池の画期的な開発はなかなか進まず、自然任せの再エネ発電を貯蔵できないのでコストがかかり、企業や工場における電気代負担が3倍にもなったら、雇用停止や電気代の安い国への移転によって、日本の産業は空洞化するかもしれません。そして今、燃料費の高騰で電気代が上がっていますが、再エネ賦課金もまた電気代上昇の原因の一つだと気付いている人は少ないと思います。2012年から2021年の10年ですでに15倍になっているのです。それでもカーボンニュートラルを進めなければならないのが、私たちの置かれている現状だと認識してください。


見えないものを見て、考えて、小さなことから行動するのが賢い消費者

ではどうすれば賢い選択ができるかというと、とにかく賢い消費者になる以外に道はありません。どう賢くなればいいのか。まず見えないものをちゃんと見ることです。先ほどお話ししたように、きゅうりを食べる時、エネルギーを食べていると意識してみて下さい。また、かつてインドシナ難民が日本に避難してきた時に彼らを預かった方から聞いたのですが、難民の人たちは、飲めるくらい清潔な水で体を洗ってもいいと言われて驚いていたそうです。つまり私たちにとっての当たり前が当たり前ではない人たちもいると気づくことで考え方も変わってきます。

かといって、必死になりすぎ疲れてすぐにやめてしまうより、長く続けられた方がいいわけで、毎日の小さな積み重ねが大切です。例えば、水をよく切った生ゴミを出せばゴミ焼却場の燃料が少なくてすみます。どんなことでもやる意義を自分の頭で考えればそれがスタートになると思います。  

そして賢い消費者になるためには、違う世界を覗いてみる、面白がってみる、というのも手段だと思います。科学は専門外の私が『寄生生物の果てしなき進化』という生物学者の本の書評を依頼され、読んでみたら興味を引かれました。「一人の人間は90の寄生虫を体内に宿し、数億のバクテリアやウイルスと共生している」という一文があり、自分では一つの命だと思っていたけれど、数多くの生き物が私の体内に住んでいる、生きていると知って、目からうろこでした。自分と関係ない異分野の本を読んだり、質問したり話を聞いたり、学ぶことは果てしなくあります。日常生活にはすぐに役には立たないし必要がないけれど、必ず発見があるものです。

もちろん合理的にものを考えたり、科学的な正確さも大切です。でも文化も同じように大切です。江戸時代、使った紙をもう一度融かして紙を作り、質は悪いので落とし紙などにしていましたが、この紙のことを「還魂紙」と呼んでいました。再生紙でもいいけれど、「還魂紙」という表現には日本人の感性が感じられると思います。こうした文化的な部分も考慮した上で、自分がどう判断するかというのが本当の意味で賢い消費者だと考えます。

今日お話ししたSDGsやカーボンニュートラルについて、私は専門家ではありません。でも私の役目は、職業柄知り得た専門的な難しい話を噛み砕いた上で人に伝えることだと考えています。井上ひさしさんは、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」という言葉を残しています。この言葉のように、私は皆さんに難しい内容をわかりやすい言葉や表現を使って「通訳」として伝え、興味を持ってもらえたらと心から思っています。
*出典:The座 1989.9発刊




山口県地域消費者団体連絡協議会会長の吉冨崇子氏が進行役を務め、会場からの質問や感想に対して神津氏とともに答えました。

―― ヨーロッパの国々は、なぜSDGsの達成率が高いのでしょうか。
神津 ヨーロッパはたえず国境が変わっているので、そういう状況において自分たちの考え方をしっかり持って行動することを生きるよすがにしていると思います。
吉冨 そうですね。国境線がない日本と、国境が接しているヨーロッパでは歴史的背景も全く異なり、現在のウクライナ状況を見ていると、よくわかります。

―― 感想になりますが、私はあまりに一生懸命生きてきたので、今日のお話からSDGsの活動はゆるく細く長く続けた方がいいということがわかり、気持ちが少し楽になりました。また物事の見えない部分を見ようとしたり、興味を持つことは、人生と同じですね。
神津 ふとしたときに目にしたことで、違う世界が見え面白く感じることがあり、そういう出会いによるものの見方の変化は大切だと思います。
吉冨 初対面の時は何だか苦手な人だなと思っても、話してみると違う面が見えることもあり、思い込みで判断するのではなく、一歩引いて人やものを見たり、よく考えてから行動すると、人との関係もスムーズになっていくかもしれません。

―― ロシアとウクライナの戦争で世界のエネルギー事情が大きく変化していると思います。食料もエネルギーも自給率が低いわが国では、今後、自給率にどう対応していくのかSDGsに絡めて考えると、国の方針をもっとしっかりしないといけないのではないですか。
神津 日本はたった一人が生活しているところでも電気や水が届くようにしている極めて珍しい国です。でも島国で土地が狭く、エネルギーはほとんどが海から輸入されています。ガスのパイプラインを引くといっても、ロシアからの計画は先行き不透明ですし、韓国、北朝鮮、そして中国からパイプラインを引くのは安全保障上、無理ではないかと思います。エネルギー自給率で大変な日本と比較し、地図でみるとわかるようにヨーロッパは国境が接しているため、楽なように見えますが、そこには違う大変さが存在しますよね。だから日本にはマイナス部分は多々あるけれど、何とか逆手にとれないかと考えています。瀬戸物のことを英語でChinaと言いますが、漆器はJapanと言います。漆の自給率が低いと言われていますが、でも漆の自給率ってかなり以前から1%しかなく、中国から輸入し加工して使ってきたのです。だから海外から持ってくれば高い技術力で何とかなりますが、持ってこなければ何にもならないのが日本の現状です。エネルギーや食料に関して、自給率をある程度高めておかないと国民を守れないと痛感しています。
吉冨 私たちの団体でも自給率を高めるための活動の一つとして掲げているのが、「地産地消」です。外国から大量生産された安価なものが入ってくるので、自国の食料を買わなくなってしまうという消費行動を考え直さなければいけないと思いませんか。もし食料が輸入されなくなり不足したら、生命の危険に関わる問題です。またSGDsのエシカル消費の一環として地産地消に注目するとともに、海外からの食料は大量の水を使って生産され、その影響で水脈が切れ地盤沈下が起きていると聞くと、私たちがおいしい食べ物を食べられるその裏側を考えなければならないですよね。今日の神津さんのお話にあった、物事の裏側についてこれからもきちんと学習し続けていけたらいいと思っています。 

 

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