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第7回オンライン勉強会

《日 時》
2022年7月12日(火)14:00〜15:40

第7回オンライン勉強会では、大量の情報を受け止める時に私たちが注意すべき点や、逆に情報を発信する際にはどのような点に気を付けなければいけないのか、メディアリテラシーの観点から下村健一氏(白鴎大学特任教授/元TBS報道キャスター)にお話しいただきました。

講演
「情報に惑わされないための《4つのハテナ》」


デマ・ウイルスに感染しないために自分で考え確認できる能力=メディアリテラシー

私は、TBSのアナウンサーとして15年、その後フリーキャスターとして10年、テレビというメディアをフィールドにして活動してきましたが、2010年に当時の民主党政権において内閣審議官になり、東日本大震災と原子力発電所事故後には内閣広報室で情報発信に努めました。足りない情報の中で、国民に伝達するために官邸の災害対策HPを立ち上げましたが、原子力災害の専門家の先生方による寄稿は専門用語が多く、一般の人に伝わらないと判断し、朱入れさせて頂いて先生方に修正を申し入れました。専門家の文章を内容がわからないまま発信してしまうと、コミュニケーションが成立しなくなると感じていたからです。同じように、脱原発を目指す官邸と原発維持の経産省、双方の資料作成においても、国民がきちんと納得できるような言葉と文章にするようアドバイス業務を行いました。この経験を経て、現在は大学で教えるとともに、全年代向けのメディアリテラシー講習や小学校5年の国語教科書の執筆なども行うようになりました。

現代は、テレビや新聞などのメディア以外にインターネットを通じて膨大な量の情報を簡単に手に入れられますが、見方を習得していなければ情報量増加はむしろ逆効果になり、世界中で大きな混乱と分断が起こっています。でもネット情報に気をつけろ、真偽を確かめろ、などと言われても、知識がないから嘘か本当かわからないと言う人が多くいると思います。どうしたらいいのでしょうか。私は日本各地の企業で新入社員向けに実用的なメディアリテラシー講座を開いていますが、本日は皆さんと一緒に模擬再現してみようと思います。これから提示する「4つの疑問」と「4つの自問」を身につければ、デマのウイルスに感染しにくくなる抗体を獲得できると考えています。


想像力を使って正しく情報を受け止めるため「4つの疑問」を持ってみる

4つの疑問のうち、まず一番大切なのは情報を得ても「まだわからないよね?」と【即断しない】ことです。情報をいったん止めさえすればいいのですが、簡単なようでこれができずにすぐ拡散してしまうため混乱が起きるのです。皆さんに必要なのは知識ではなく意識です。コロナウイルス感染においては「密閉」「密集」「密接」の3密の回避が重要ですが、情報も同じで、情報源が一つしかない閉じた情報は、窓を広げて他の情報を入れ「密閉」を避けましょう。また、支持者や拡散者がワッと集まる「密集」情報も要注意です。みんなが言っているということは、必ずしもその情報の信憑性とイコールではありません。そして人間関係が近い人からの情報はつい信じてしまう傾向がありますから「密接」の情報を真実だと決めつけないことも必要です。そして、100%かゼロ、真白か真黒と決めつけるカチカチスイッチではなく、99%から1%の間、白っぽいから黒っぽいの間でスライドできるスイスイスイッチで受け止めておいて、続報が入ったらスイッチをどちらにも動かせるようにしておけばいいのです。

次に2つ目の疑問チェックが、「これは意見・印象じゃないかな?」と思うことです。情報は、事実描写風の部分と、発信している人の意見・印象風の部分が混ざって届くことがあるので、【うのみにしない】ことが肝心です。受け手はこれをざっくり分けないと、証拠もないのに断定してしまいがちです。たとえばテレビのレポーターの言葉をチェックしてみると、「疑惑の」や「こわばった表情で」とか「記者を避けるように」「こそこそと」など意見・印象表現を用いて伝えられることがよくあります。たとえばレポートされている人物の表情や仕草が生まれつきのものであっても、視聴者はその瞬間に怪しい人物だと思い込んでしまいませんか。 

3つ目は、「他の見え方もないかな?」と、一つの見方に【偏らない】ことです。立場を変えてみると、情報は全く違う姿で見えてきます。例えば「人里に熊が出ました」というニュースを聞くと、危険で邪魔な動物を排除しなければと思う人が多いでしょう。でも熊の立場からすると、元々の生息地域を人間が開発して住むようになったとも言えるわけで、それは「熊里に人が出ました」ということにもなりませんか。想像力を働かせることで、同じ情報も立場を変えて考え、たった一つの答えで決めつけるのではなく、他の可能性に気づき多面体で情報をとらえるのがメディアリテラシーです。

4つ目は、「隠れてるものはないかな?」と、スポットライトが当たっている【中だけ見ない】で、外に広げて考えてみることです。私たちには、見えない部分を直感的に補う習性があり、例えば十字路で横の道から車の先頭部分が見えただけで、車が来たから気をつけようと判断できますよね。とても便利な習性ではありますが、情報取得の場合、見えているものだけで全体像を断定せず隠れているものを想起することが重要になります。なぜなら、情報は選択して伝えられているからです。例えばネット検索をする場合、検索結果の[上から3つ]ではなく、どうせ同じ所要時間を費やすなら見出しから[違う毛色の3つ]の情報を見比べた方が、視野は広がります。インターネットが出現した当時は、これで窓が広がると歓迎されましたが、膨大な数のWebページはアルゴリズムで勝手に整列が行われており、各人の検索ニーズに対応する“あなた好み”のランキング結果が検索者に届けられているわけです。心地よい結果だけを見て自分の思い込みを固めるのではなく、思い込みを壊す道具としてインターネットを使っていかねばなりません。

また、映像も情報が選んで伝えられていることを考慮してください。例えば、テレビ局のカメラマンが街中で撮影した映像の中で、本当は「感染症が病院以外では広がっていない」ような状況でも、マスクをしている人が数人でも映ると、視聴者はパッと見ただけで、感染者が増えているような気がしてしまいます。でもマスクをしているのは花粉症や普通の風邪が原因なのかもしれません。この場合、撮影者や映像の編集者、視聴者に悪気や重大な落ち度はないのに、映像のフレームの中が全世界だと錯覚することで、過剰反応が起きてしまうのです。スポットライトを浴びている情報の周囲の暗がりに何があるかもしれないかを考えるのが、あなたの想像力です。これを使えば、今流行のディープフェイクの情報も見破るのは簡単です。ウクライナのゼレンスキー大統領が国民に降伏を呼びかけたという精巧な偽動画がSNSで拡散されましたが、そこだけを凝視するから惑わされるのであり、スポットライトの外側…例えば大統領本人のSNSなどを確認すれば、すぐにフェイク情報だと確認できたはずです。

ここまでご紹介してきた4つの疑問は、初耳の情報に出会ったら、すぐに実行してほしいです。実行するのは大変だという人がいますが、誰もが子どもの頃に教わった食事や道の歩き方と同じで、それらが今、無意識でできているのなら、4つの疑問も簡単です。「即断するな」は「飛び出すな」、「うのみにするな」は「よく噛んで」、「偏るな」は「好き嫌いするな」、スポットライトの「中だけ見るな」は「左右を見よ」・・・ちょっと練習すれば、習得できますよね。 


情報被害者にも加害者にもならないために

正しく情報を受け止めたら、今度はあなたが誰かに情報をしっかり届けるために、「4つの自問」をしてください。1.私は何を伝えたいの?=明確さ、2.決め付けてないかな?=正確さ、3.傷つけてないかな?=優しさ、4.これで伝わるのかな?=易しさの4つでセルフチェックすれば、情報の加害者になることを防げます。1の明確さでは、普段接する相手とのコミュニケーションにおいても誤解が生じることはありますが、それでも最後まで聞いてくれるし、舌足らずな言葉は相手が頭の中で補って理解してくれます。ところがSNSの場合は、不特定多数とのコミュニケーションなので、つまらなければ途中で情報を打ち切ってしまったり、舌足らずな言葉は自己流で解釈され理解してもらえないことが多くあります。

2の正確さの問題としては、当然共有すべき前提や予備知識を伝え損ねていると、受け手は自分の頭の中で決めつけのイメージを抱いてしまいます。それから、科学情報が的確に伝わらない場合にとても多い事例ですが、「正しい私たちが間違った人々を教え導く」と決めつけた潜在意識が働いて謙虚さ不足の表現に表れてしまうと、コミュニケーションの壁ができてしまいます。

3の優しさでは、悪意がなかったとしても言葉は刃になると配慮することです。2011年12月、当時の野田首相は「原発事故収束宣言」という言葉を使いました。官邸側は原子炉の状態について宣言したつもりでしたが、被害者側は事故全体の収束宣言だと受け取り、「棄民」だと激怒しました。もちろん本文の中では、「収束」とは原子炉の中の状態のことだと詳しく説明はされたのですが、タイトルに被害者の皆さんを傷つけることへの配慮が欠けていました。収束ではなく危機脱出などの表現を使えばよかったのかもしれません。

4の易しさについて考える際、「伝える」と「伝わる」は全く違うことを意識する必要があります。キャッチボールに例えると、「伝える」は私がボールを投げることで、手紙を書いてポストに入れただけでは全く伝わりません。「伝わる」は相手がボールを受け取る、つまり封筒を開いて手紙を読めば、ここで初めてキャッチボールが成立します。だからこそ内輪にしか通じない言葉や専門用語、表現を使っていないか、また相手が知りたい情報のニーズを考慮しているかなど、ひたすら受け手のことを考える必要があります。

これまでお話ししてきたように、情報をしっかり受け取るための4つの疑問と、さらに情報をしっかり届けるための4つの自問をマスターすれば、これからどんな新しい情報ツールが現れても情報の洪水に溺れないでいられます。メディアリテラシーとは、相手を嘘つきだと疑って全否定することではありません。全否定は全肯定と同じ態度と言えます。そうではなく、個々の情報について以上のチェックを習慣化して、情報に振り回される[被害者]にならず、悪意なくデマを広める[加害者]にもならず、想像力のスイッチを入れて、思い込みの小窓を壊して、より広い景色を見ていきましょう。


メディアリテラシー







質疑応答

QWEB検索のランキング結果に誘導される危険を回避するコツはあるのか。
A:方法は3つある。アメリカではすでに始まっているが、検索サイトの作成者側がアルゴリズムを工夫し、似た情報ばかりでなく対照的なものも並べること。2つ目は法的な規制だが、情報規制になる可能性もあるので極力避けたいところだ。3つ目はやはり受け手の眼力を鍛えること。自分が気に入ったものばかり見ずに、違うものも幅広く選ぶようにすれば、アルゴリズムに変化が出る。

Q元々先入観を持っている人に対して、客観的な理解をしてもらうための工夫はあるのか。
A:例えば原子力発電問題なら、原子力発電推進の考えの人であっても、現実に事故は起こったのだから、過去の過ちに対して謙虚に言及すべきで、これを忘れると、対話の回路は絶対開かれないし、また次第に自戒も薄れてしまう。信頼感に結びつけるためにも、間違いをきちんと認めることが大切。そして相手の話にまずはきちんと耳を傾け、その意見を排除することなく他の見方を足し算することで、特定の先入観で身を固くした人たちが聞く耳を持ってくれるようになるだろう。

Q情報に白黒をつけるのは簡単で、スイスイスイッチのようなグレーゾーンを説明するのはとても難しいが、どうすればいいのか。
A:グレーゾーンを嫌う人たちに納得してもらうには、「実際の世の中は色とりどりなのに、どうして白黒コピーに置き換えて見るのか?」と問いかけるといいかもしれない。一つの結論に固着した方が楽だけれど、カラフルな考え方で世界を見た方が豊かだよ、と。それから、どんなに確信が深いことでも100%とは振り切らずに99%で抑えて1%の余地を残しておけば、想定外の出来事が起きた時にも受け入れる準備ができる。逆に、100%かゼロかという人は、そうなった時に、どう対応していいか分からなくなるだろう。   



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