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つわぶき友の会

《日 時》
2022年9月29日(木)13:30〜15:10
《会 場》
八幡浜市文化会館ゆめみかん(愛媛県八幡浜市保内町宮内1番耕地118)
《テーマ》
「脱炭素はできない! 低炭素ならいける」

地球温暖化問題解決のために脱炭素を目指していた世界では、ウクライナ情勢などを受けて、各国でそれぞれエネルギーの方針を変えざるを得ない状況になっています。原子力に対する忌避感がまだ続く日本のエネルギーの現状と、世界情勢を受け今後どのように進んでいけばいいのか、石川和男氏(社会保障経済研究所代表)にお話を伺いました。

講演
脱炭素はできない! 低炭素ならいける 


半世紀経ってもエネルギー転換はできていない

2011年、東日本大震災後に起こった福島第一原子力発電所の事故により、日本のエネルギー需給は激変しました。日本各地の既設の原子力発電所は安全対策のため運転を停止し、その後、原子力規制委員会の新しい規制基準に合格しなければ再稼働ができなくなりました。そのため、現在の日本の電源別発電電力量構成では、11年以前に約3割を占めていた原子力の分を、天然ガス、石炭といった化石燃料や再生可能エネルギーで補っています。

世界では今は温暖化問題が注目されていますが、ここ50年間のエネルギー変遷を見ていくと、1973年のオイルショックが大きな転換点になっています。先進工業国ではそれまで中東で産出される原油に依存してきましたが、第四次中東戦争をきっかけに原油価格の引き上げや生産削減が行われました。エネルギーの8割を輸入原油に頼っていた日本では、夜、早い時間に街のネオンサインを消灯したり、テレビの深夜放送の休止などの節電のほか、トイレットペーパーの買い占めパニックなど市民生活も大きな影響を受けています。

オイルショックを契機に、エネルギーの安定供給のため、日本を含むエネルギー資源に乏しい国々では、石油依存から、代替エネルギーとして原子力、そして紛争が多い中東以外に世界中に分布している天然ガスへの転換を図ってきました。このため世界の電力供給では、石油は2019年には1973年と比べ総量は4倍になっているものの、比率は24.8→2.9% と1/10に減っています。一方、原子力は3.3→10.4%、天然ガス12.1→23.6%に増加し、水力は20.9→15.7%と減少しましたが、その他、再エネが0.6→10.8%と増加しています。

しかし運輸部門を加えた供給量の推移を見ると、自動車、船舶、飛行機などの燃料として石油が主力であることは変わりませんから、石油は最大のシェアを占め続けています。そして、地球温暖化防止に向けた気候変動枠組条約が策定されたのが1992年。今から30年前にスタートしたこの条約では、大気中の温室効果ガス排出を削減するため、化石燃料削減が必要だとしていました。石炭、石油、天然ガスの単位エネルギー当たりCO2排出量を比較すると、ほぼ5対4対3になるため、真っ先に石炭が槍玉に上がり、石炭火力廃止が求められてきました。また自動車については、電気自動車への転換が進められつつありますが、ガソリン車に比べ本体価格が高く、充電に時間がかかり電気代がかさむなど、課題は山積しています。  


世界の1次エネルギー供給(電力+運輸等)の推移



資源がない日本にとってエネルギーの安定供給に必要な火力と原子力

日本では、2014年に九州電力の川内原子力発電所1号機が審査に合格して再稼働して以来、22年現在では西日本の6つの原子力発電所で10基が再稼働しています。しかし東日本で再稼働した原子力発電所はゼロ。24年春にようやく東北電力の女川原子力発電所2号機が再稼働する見込みになっています。相変わらず化石燃料の輸入依存度が高い日本は、世界のエネルギー需給環境から大きな影響を受けています。今年の2月に始まったウクライナ戦争により、世界有数の天然ガス、原油の輸出国であるロシアは、これまでパイプラインを通じたヨーロッパが主な供給エリアでしたが、西側主要国による経済制裁でロシアに対して輸出入規制をすると、ロシアの天然ガス依存度が最も高かったドイツは逆に最大の衝撃を受けました。日本は、天然ガス輸入量のうちロシアの占める割合が9%、原油は4%ですが、脱ロシアはしていません。仮に別の供給国が見つかったとしても、他国も集中すれば価格上昇は必至ですから、政府はサハリンプロジェクトから引き続き輸入すると宣言したわけです。

原子力発電所の再稼働が進まない日本では、電力需給が逼迫する緊急事態が起きています。今年3月に福島で地震が発生し県内の火力発電所が停止したため、需給が逼迫、政府から東日本に向けて節電要請が発出されました。また6月には経産省が冬季の電力需給の見通しについて発表したところ、需要に対する予備率が1月の東日本では1.5%、2月は1.6%と低かったものの、現時点では1月4.1%、2月4.9%と緩和され、安定供給に最低限必要な予備率3%を上回る数字となっています。しかし想定した気温より下がればすぐさま厳しい状況に陥ります。 

なぜ再エネを増加させても問題解決できないのかというと、自然任せの発電で量が制御できず不足することがあり、ピーク時には余剰分を調整するために火力発電が必要だからです。また、自分の家庭で発電した電力を送電線につないで電力会社に売る場合、電力会社はエリア全体の電力需給を調整し出力制御しなければなりません。また平地の少ない日本でメガソーラーを敷き詰めるために森林を伐採するなどの環境破壊や、施工状態の悪いパネルが台風などで吹き飛ばされ破壊被害を与えたり、あるいは落下して水浸し状態で発電すると感電の恐れもあります。原子力のリスクばかりが注目されがちですが、再エネもリスクゼロではないことをきちんと認識しておくべきです。

エネルギーの安定供給には火力と原子力の両輪が必要です。再エネ最優先のように思われていますが、オイルショック後の半世紀近く世界全体のエネルギーがほとんど変化していないように、今後も急激に変わることはないと思います。石炭火力を例に挙げれば、中国、インド、アメリカ、インドネシアで大量に使われているのは、社会や産業にどうしても必要だからです。日本政府は、これまで進めてきた省エネ型でCO2排出量の少ない世界トップクラスのクリーンな火力発電所の技術を、東南アジアを中心に戦略技術として広めていくと発表しています。

冷静なリスク管理を怠り誤ったエネルギー選択をしてしまうと、安定供給ができなくなるという教訓をドイツが示しています。福島第一原子力発電所の事故を受け2022年末までに原子力をゼロにする法律を定めていたドイツは、自国で採掘できるのにCO2排出量が多い石炭をやめて再エネ先進国を目指していた一方、ロシアからの天然ガスに依存していました。平時ならよかったのですが、昨年は風が弱く風力発電による発電量不足から火力発電を増やすことになり、さらにロシア制裁で天然ガスの輸入も規制され、結果として原子力発電所の稼動延長を決めることになりました。


感情論や風評に惑わされず科学的根拠に基づいたエネルギー選択を

日本は他国に比べて再エネ推進が遅れている、欧米を参考にすればいいという意見をよく耳にしますが、世界各国の電源構成はそれぞれ全く異なります。その国で産出している化石燃料があればそれを使えばいいですし、フランスのように原子力が7割を占める国もあります。人口も産業も地勢も異なる諸外国を参考にすることはできないと思います。そして再エネに関して付け加えれば、数年前にはEU28か国のうち家庭用電気代が最も高かったのは、風力発電をメインにしているデンマークで、2番目がドイツでした。日本の場合はほとんどすべての化石燃料を輸入しているため、化石燃料費や船賃の高騰により、電気代が影響を受けます。これにさらに再エネを増やすと、より電気代が上昇するのは明らかです。島国の日本でまず考えなければならないのが、水と同様に命に関わるエネルギーの安定供給だと思います。電力の需給が逼迫する状況やエネルギー安全保障に対応するため、今年8月、岸田首相は、来夏以降、原子力発電所7基の再稼働を追加で目指す方針を表明しました。政治の早い対応は高く評価できると思います。


主要国の電源構成(2019年)


一般的にマスコミは、ネガティブな出来事ばかりを取り上げる傾向があり、エネルギー問題もネガティブ報道になりやすくなっています。例えば、再稼働を待つ女川原子力発電所は、福島と同程度の地震や津波があったにもかかわらず電源喪失することなく、頑丈な建物の中に避難する地域の人たちを受け入れることができました。安全な施設だからこそそれが可能だったのに、この事実はマスコミでは報道されず、福島の事故の映像ばかりが毎日、流れていました。また、たとえ事実を報道しているにせよ、報道は全てを伝えられないのだから、ニュースだけを根拠にせず、個々人が科学的根拠に基づいた考察をすべきだと思います。

福島第一原子力発電所の事故により、原子力に対する不信感から風評被害が続いています。来年4月から敷地内の処理水の海洋放出がほぼ決まっていますが、健康上、全く問題がないにもかかわらず、地元漁民にとっては風評に対する懸念から放出反対の旗をなかなか下ろせずにいます。国は、細やかな説明・説得を重ね、買取補償などの取り決めをすることで、安心感を持たせる必要があると思います。日本人が福島第一原子力発電所の事故から学んだのは、放射能漏れの被害よりその後の風評被害の方が大きいということでした。これまで人類は、1979年のアメリカのスリーマイル島、1986年の現ウクライナのチェルノブイリ(チョルノービリ)、そして2011年の福島と、大きな原子力事故を3回経験してきましたが、今後、こういった事故がリスクゼロではないと考え、感情論抜きで科学を信じ風評を信じず前向きに進んでいかなければならないと思います。そして日本は、より安全な新しい原子力技術が確立するまでは、既存の原子炉を補修管理しながら安全に稼働させ、次にバトンを渡してほしいと考えます。そして「脱炭素」を目指すのではなく、原子力も使いながら、「低炭素」を目指そうと提案したいのです。 



石川和男(いしかわかずお)氏プロフィール

社会保障経済研究所代表
1965年福岡生まれ。84~89年東京大学工学部。89~2008年通商産業省・経済産業省、内閣官房(電力・ガス自由化、再生可能エネルギー、環境アセスメント、国内石炭合理化、産業保安、産業金融・中小企業金融、割賦販売・クレジット、国家公務員制度改革などを担当)(退官前後より、内閣府規制改革委員会WG委員、同行政刷新会議WG委員、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、東京女子医科大学特任教授、専修大学客員教授などを歴任)。11年〜社会保障経済研究所代表(これ以降、多くの企業・団体の役員、顧問などに就き、現在に至る)。20年9月〜経済産業省大臣官房臨時専門アドバイザー、21年4月〜北海道寿都町・神恵内村地域振興アドバイザー。現在、BSテレビ東京『石川和男の危機のカナリア』など、TV・ネット番組などでアンカー、コメンテーター、クイズ番組回答者として出演多数。実業として、幼児・小学生・高齢者向け脳育事業、ベンチャー投資など。著書に『原発の「正しいやめさせ方」』(PHP新書)など。


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