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輸入食品の安全性確保とリスクコミュニケーションの重要性

浅野 智恵美氏 chiemi asano
NACS消費生活研究所主任研究員/環境カウンセラー

輸入食品の増加と食のグローバル化が進む中、私たちの生活は様々な輸入食品に支えられています。今朝、私はフィリピン産のバナナを頂きました。昨夜はイタリア産のホールトマトでミネストローネを作りました。地産地消、旬産旬消の観点から国産品を選びたいのは山々ですが、日本の食料自給率は37%です。特に飲食店などの外食産業やパン、麺、菓子類などの加工品の原材料は、往々にして輸入食材が使われています。毎日の生活で国産品だけを口にして暮らすことは難しい状況です。

その様な中、野菜や果物の残留農薬、ナッツや香辛料のカビ、有毒魚類の混入、寄生虫、サルモネラ菌の検出、小麦や大豆などの輸送時の腐敗やカビなど、様々な食品衛生法違反が発生しています。健康被害の未然防止が重要であることから、輸入食品の安全性を確保するため、食品衛生法に基づき、厚生労働省は毎年度「輸入食品監視指導計画」を定めています。消費者、事業者、行政の3者が集まり、輸入食品の安全性確保に関する意見交換会も毎年開かれており、先日お手伝いしました。

多様な食品が世界各国から入ってくる現在、監視体制の強化と日本の食品衛生規制の周知、輸出国とのコミュニケーションや現地調査、技術協力が重要となります。フィリピンのあるバナナ農場は、農薬使用記録簿と共にバナナの木1本1本に農薬散布状況を記録し、トレーサビリティを確保しています。

輸入食品でも国産品でも、国内で流通する食品は同じ基準が適用されています。“食品にゼロリスクはない”からこそ、健康に悪影響がないよう原材料や製品、工程を管理し、消費の段階においても安全に取り扱う必要があります。とは言え、輸入食品は監視体制の見えづらさがあります。判りづらい、見えないことは不安につながります。リスクコミュニケーションの目的はエンゲージメントの活動であり、説得ではないと言われています。消費者の意見や提言を生産者、加工、輸入業者に伝えていくことも安全確保に繋がります。

一方、日本は石油や天然ガスなどの資源に乏しい国です。2017年の日本のエネルギー自給率はわずか9.6%であり、他のOECD諸国と比較しても低い水準です。エネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼っています。暮らしに不可欠なエネルギー利用の有り方についても、食と同様、関心を持ち続けていこうと思います。

(2020年2月末)

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